祝辞 ~母校を巣立つ第36期生の皆さんへ~
三年間の高校での履修過程を終了し、本日卒業式を迎えられた福岡県立柏陵高等学校第三十六期生の皆さん、ご卒業おめでとうございます。同窓会を代表いたしまして、一言お祝いの言葉を述べさせていただきます。
三年前の平成三十一年四月七日、入学式で皆さんに送った祝辞の中で、進学先として柏陵高校を選択していただいたことに関係して、「選ぶ」という言葉を贈らせていただきました。「毎日の生活の中においては、たくさんの選択肢が有り、その選択を行っている。選ぶとは自分自身で決めるという小さなリーダーシップを身に着ける事である。」という事をお話いたしました。この三年間を振り返ってみていかがだったでしょうか。柏陵高校での生活の中においても、様々な選択肢が有ったことだと思います。授業をはじめとした勉強の中で、あるいはクラスマッチや体育祭などの学校行事の中で、また、仲間と切磋琢磨した部活動の中で、数ある選択肢の中から自分で選んで決断を下してきたはずです。その決断が正しかったと感じたり、または失敗だったと感じたりする事もあったことでしょう。例えその決断が期待した結果を伴わなかったとしても、何も心配する事は有りません。なぜなら、今は皆さんが社会に出た時に決断をするための練習をしているからです。そしてここにいる皆さんが、たった一つだけ全員同じ選択をしました。それは、「柏陵高校を辞めなかった」という選択です。だから卒業式にいるのです。私は、皆さんが途中で柏陵高校を辞めずに卒業という一つの節目を迎えたことには大きな意味があると思っています。「石の上にも三年」という言葉が示すように、一つの事を成し遂げるには少なくとも三年間の努力が必要であるという事です。新型コロナウィルス感染症に翻弄された、三年生の一年間をも乗り越え、三年間にわたり柏陵坂を上り続けたという継続は、間違いなく皆さんの力です。将来が予想しにくい不透明なこれからの社会、自ら選択し、自らの力で切り開いていて行って下さい。楽しかったこと、苦しかったこと、友達や先輩後輩の事、お世話になった先生方の事、ここでの経験は柏陵魂となって、これから皆さんが生きていくうえでの支えになる事は間違いありません。これからの皆さんの活躍を心から期待しています。
さて、保護者の皆様におかれましては、入学してから今日までの三年間にわたり、お子様方を柏陵高校に通わせることは大変だったのではないかと拝察いたします。入学したときはまだまだ頼りなく、ご自分のお子様方が本当にこの学校でやっていくことが出来るだろうかと心配された方もおられるのではないでしょうか。しかし、もはやあの子どもの姿は無く、いまやすっかり成長し、一人の立派な大人へと変化いたしました。今日の卒業式は、保護者の皆様方におかれましても卒業式であります。柏陵高校で三年間を頑張った第三十六期生の後輩たちは、柏陵高校での経験を礎にこれからの人生をたくましく、力強く歩んで行ってくれると確信しています。私たち同窓会もしっかりと応援して参りたいと存じます。
最後に、本日まで後輩たちをご指導いただきました、校長先生をはじめとする柏陵高校の職員の皆様、本当にありがとうございました。同窓生となった彼らは、これからは私たちと共に、同窓生として母校を支える側に変わります。たくましくなった後輩達ですが、どうかこれからも在学中と変わらぬ温かい目で見守っていただきたいと存じます。
結びに、柏陵高校の益々のご発展、並びに職員の皆様方と本日ご参集の皆様方のご健勝を、そして本日巣立っていく第三十六期生の諸君にとって幸多き人生となりますことを心から念じ申し上げ、私からの祝辞とさせていただきます。
令和三年三月一日
福岡県立柏陵高等学校同窓会
会長 臂 英治